冬眠と夏眠対策

313月 - による pycno - 0 - ハリネズミ習性

ハリネズミを飼育する際に、知っておくべきこと、それはハリネズミはペット(愛玩動物)ではなく、れっきとした野生動物だということです。

ハリネズミの野生の習性の一つに、冬眠と夏眠があることをご存知でしょうか?

 

習性をしっかり理解しないまま衝動買いして飼育を始めてしまうと、後から対処に困る場合があります。

冬眠と夏眠への対策を怠ると、最悪の場合命を落としてしまうこともありますので、しっかり理解しておきましょう。

 

冬眠と夏眠ってなに?

冬眠と夏眠とは読んで字の如く、冬と夏に寝てしまうことです。

冬眠は色々な動物が行うので一般的によく知られていますが、夏眠は、あまり知られていません。

どちらも、ある一定の気温になると、眠りに入ってしまう現象のことで、異常なことではありません。

 

では、なぜこの冬眠と夏眠が命に関わってくるのでしょうか?

 

その説明をする前に、まずは冬眠と夏眠それぞれを詳しく説明しますね。








冬眠

ハリネズミは、気温が17度前後まで低下すると動きが徐々に鈍くなっていき冬眠に入ります。

冬眠とは、気温が下がり、エサも減ってくる厳しい冬を乗り越える為に進化の過程で身に着けた習性です。

冬眠の方法として、体温を気温と同じ程度まで下げることで深い眠りにつきます。

その間は代謝を低下させ、入眠前に蓄えた脂肪を少しずつエネルギーとして消費していきます。

冬眠期間中はずっと眠っていると思われがちですが、2週間に1回程度目を覚ましてまた入眠するサイクルがあるといわれています。

 

夏眠

ハリネズミは、気温が30度以上になると、夏眠に入ります。

夏眠は夏の暑さの厳しい時期、食料である虫や飲水が確保出来ない状態になることが多いため、夏眠を行い、エネルギーの温存を行うための習性です。

 

冬眠と夏眠の注意点

冬眠と夏眠が命に関わるポイントは、そのハリネズミが、野生として生きているのか、人工飼育されているのか、で変わってきます。

 

野生のハリネズミの場合、冬眠前には自分の意思で栄養を体に蓄え、食事量を増やし脂肪として蓄えます。

 

一方、飼育環境下では、毎日決められた量のフードしか与えられません。

更に、室内での飼育が主であるため、普段は暖房機器などで温められていても、朝だけ急に冷え込むなどの急な温度変化が起こります。

これらの理由により、十分な栄養を蓄える事なく冬眠に入ってしまい、結果餓死してしまう場合があります。

また、低体温状態になってそのまま死んでしまう場合もあります。

 

夏眠に関しても、室内温度の急な上昇により、実は熱中症だったという場合があります。

夏眠と熱中症は同じようにケージ内でぐったりしているのですが、熱中症の場合重症になると、けいれんを起こし死亡することがあります。

 

冬眠と夏眠の対処方法

冬眠と夏眠は上記のとおり命に関わることです。

ハリネズミを飼育する場合は、そもそも、冬眠と夏眠といった現象を起こさせない温度管理が重要になります。

まず、ケージには温度計と湿度計を設置しましょう。

 

温度はエアコンなどで24~29度の間で管理します。

適温は26度程度です。

湿度は40%程度が理想です。

 

その他にも、ペット用の保冷マットやヒーターなども販売されていますので、それらを使用して、ハリネズミにとって最適な温度、湿度を保つようにしてください。

 

それでも冬眠や夏眠をしてしまった際には起こしてあげましょう。

 

冬眠の起こし方は、ゆっくりと体温を上げることです。

急激に温度が上るドライヤーなどは使用せず、ペットヒーターなどの上に床材を置き、ハリネズミをゆっくりと温めるのがポイントです。

少しずつ動き始めたら、スポイトなどで、砂糖やはちみつを濃いめに溶いた水を少しずつ飲ませてあげましょう。

 

一方、夏眠の起こし方は、ゆっくり体温を下げてあげることです。

ハリネズミを涼しい場所に移動し、冷たい濡れタオルをビニール袋に入れ、体を包み冷やします。

保冷剤などを直接当てるのは危険ですのでやめて下さいね。

体温が下がり過ぎてしまうことがあるので、適宜観察しながら行って下さい。

 

冬眠・夏眠をしてしまったハリネズミは、内臓などに損傷がある可能性があります。

元気に見えても病院を受診するようにしましょう。

 

全てのハリネズミが冬眠や夏眠をするの?

今までの記事を読んでいるとハリネズミが全て冬眠と夏眠をするように思えるかもしれませんが、実際には品種によって冬眠する品種と夏眠する品種に別れます。

これは、生息するエリアによって育つ環境が異なるためです。

 

冬眠する品種として有名なのが、ナミハリネズミで、ヨーロッパに生息しています。

基本的に日本でペットとして販売されることはありません。

(その理由はハリネズミの種類の記事で詳しく書いているのでそちらもチェックしてみてくださいね。)

もし、飼育する品種がこのナミハリネズミのように冬眠する品種ならば、冬眠しないような対処が必要です。

 

日本で唯一ペットとして販売されているハリネズミはヨツユビハリネズミと呼ばれる品種になります。

このヨツユビハリネズミは冬眠しません。

理由は冬眠が必要なほど寒くなる地域に生息していないからです。

そのため、冬眠する習性自体備わっていないんです。

 

でも、家で飼ってるヨツユビハリネズミは冬眠したよ!って人もいるでしょう。

実はそれ、冬眠しているのではなく、低体温で動けなくなってしまっているだけなんです。

前述のとおり、体温が下がると、動きが徐々に鈍くなっていき動けなくなります。

冬眠する習性の備わっていないハリネズミがこのように低体温状態になってしまうと、まず助からない場合が多いので、温度管理は徹底して行いましょう。

 

逆にヨツユビハリネズミは夏眠をする習性を持っています。

しかし、夏眠かと思っていても、前述の熱中症などの症状の可能性もありますので、危険なことには変わりありません。

やはり、温度管理は重要になってきますね。

 

最後に

いかがだったでしょうか?

飼い主の中には、エアコンをつけっぱなしにすることに抵抗がある人も多いと思います。

外出する時は切ったり、自分がいない部屋は切るなどの節約をしている人も多いのではないでしょうか?

しかし、ハリネズミを飼育する以上、温度管理は絶対に行わなければならない必須事項です。

そのことを念頭に入れて飼育を始めるようにしましょう。

 

余談ではありますが、エアコンはつけっぱなしの方が電気代が節約される場合があります。

 

ハリネズミを購入する前に、ケージを置く場所をよく考えること。

また、決めた場所での温度、湿度の変化を観察すること。

温度計・湿度計をケージに設置し複数の温度管理法を試してみて、理想の数字に保てる方法を見つけてみましょう。

(温度管理の方法については、ハリネズミの飼育方法の記事にて詳しく記載していますので、是非チェックして参考にしてみてください。)

 

この冬眠と夏眠を防ぐことがハリネズミの長生きの秘訣になります。

このような管理をしっかりしていれば、5年以上は生きられる動物ですので、長く一緒に暮らすためにも、その他の記事もチェックしてハリネズミを飼育する上で必要な知識を身に着けていってくださいね。

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