ハリネズミに馴れてもらう為に
ハリネズミを飼うにあたり最も難しいのが、人間に馴れさせることです。
この問題をなるべくうまく乗り切るために、今回は、ハリネズミを人に馴らす手順を解説していきたいと思います。
馴らす目的
多くの人は、撫でたり触れ合ったりするために「馴らす」と思っています。
しかし、ハリネズミは元々、触ったり抱っこしたりして可愛がる動物ではありません。
ケージの外から遊んでいる姿やかわいい仕草などを見て楽しむためのペットだと思ってください。
なので犬や猫のように簡単に人に懐いてはくれません。
では、なぜハリネズミを人に馴れさせる必要があるのでしょうか?
その理由は、ハリネズミ自身のためです。
ハリネズミはストレスに弱い動物だということは、他のページでもたくさんお伝えしてきました。
人に馴らされることなく飼育されたハリネズミは、常に怖がり、大きなストレスを感じながら生きていくことになります。
ハリネズミは、食事、トイレ、掃除、健康のチェック、動物病院の受診など、人と接する度にストレスを受け続けることになると、精神面だけでなく、やがて病気として体に現れることもあります。
そうさせないためにも、ハリネズミを人間に馴らしていく努力をする必要があるのです。
ハリネズミは特別に頭のいい動物という訳ではありません。
しかし、飼い主のことを判断する能力もありますし、全ての個体がという訳ではありませんが、信頼関係を築くこともできる動物です。
ハリネズミのためにも、これからご紹介する方法を参考に、人に馴らしてあげて下さい。
馴らす前に考えておくこと
ハリネズミを馴らす必要性は理解していただけたと思います。
しかし、ここで考えておかなければならない事があります。
ハリネズミといえど、人間と同じで、様々な個体がいます。
その個体毎の差が個性です。
最初から丸まったり威嚇したりすることなく、人のことを怖がらない子もいれば、威嚇をやめない子や寝床から出てこない子もいます。
購入したその日からハリネズミをよく観察し、馴らし作業に入る前に、飼い主さんの考えている目標が本当にその子にあった目標かどうかをもう一度考え直して下さい。
そして、目標は個体によって変わっても構わないという許容をもってください。
また、最終的なゴールまでの時間を焦らないでください。
寝床から出てこない子なら巣穴から出てくるのをまず目標にしてみるなど、その子が達成できる小さな一歩を見守るつもりで馴らしていきましょう。
最初から人馴れしているハリネズミもいるとお話しましたが、多くの場合は人に馴れることに時間を要しますので、飼い主さんの忍耐力が要です。
ハリネズミへの愛情を忘れることなく、忍耐強く気長に少しずつでよいのです。
もし、思ったように馴れてくれなくても、それはあなたのせいでもハリネズミのせいでもありません。
その事を忘れず、大声を出したり叩いたりしてハリネズミとの信頼関係をより悪くしないように気をつけて下さいね。
馴らしを行うタイミング
ハリネズミを購入した日、つまり、ハリネズミが家に来た当日は、生活環境の大きな変化や人間に対する恐怖からのストレスや、移動による疲労が溜まっている状態です。
そのため、すぐに馴らそうとせず、様子を見てあげましょう。
個体にもよりますが、2日くらいは無理をせず、新しい生活環境である寝床やケージに馴染んでもらうことが先決です。
人に馴れさせる訓練はその後でもまったく遅くはありません。
馴れさせる訓練を行う時間帯は、ハリネズミが夜行性であることを考えると、夜が最も適しています。
何日かに一回の長時間より、短時間でも毎日接するようにしましょう。
具体的な馴らし方
では、ハリネズミの具体的な馴らし方について説明します。
ハリネズミは、その優れた嗅覚と聴覚で多くの情報を得ています。
まずは、名前を呼んで飼い主さんの声を覚えさせること、そして匂いを覚えさせましょう。
匂いを覚えさせるには、飼い主さんの手の匂いを嗅がせてからご飯を与えるのが効果的です。
飼い主さんの匂いに馴れ、ケージに手を入れても怖がらなくなれば、抱っこの練習を行います。
抱っこも段階を追って行います。
抱っこの前には、飼い主さんの匂いを嗅がせたり、声をかけたりして事前に予告をおこないましょう。
急に触れると驚いて警戒してしまいます。
次に、手のひらを上にしてハリネズミの前に置きます。
そのまま乗ってくるまで待ちましょう。
乗ってきたらしっかり両足が乗るまで待ちましょう。
両足がしっかり乗ったら、両手で包み込むように抱っこします。
もう一つ抱っこの方法があります。
匂いを嗅がせて予告をしてから、両手でハリネズミの左右からすくうようにして持ち上げて下さい。
その後、ハリネズミが安定する形で抱っこしてあげましょう。
この時の注意点ですが、ハリネズミが落ち着いているときに行います。
嫌がっているのに無理に抱っこをすると抱っこ嫌いの子になってしまいます。
次に、飼い主はビクビクしないようにしましょう。
ハリネズミは敏感です。
飼い主さんがビクビクしているとハリネズミも不安になります。
ゆったりとした気持ちで落ち着いて抱っこしてあげましょう。
抱っこは必ず座った状態で行います。
ハリネズミを抱き上げたあと、何らかの原因で、針を立てたり、噛みつかれたり、暴れたりする可能性があります。
そうなった時、床に落としてしまうことがありますので、床からの高さを低く保つことが大切です。
部屋で遊ばせながら馴らす場合は飼い主から近づくことはせず、ハリネズミの方から近づいてくるのを待ちましょう。
近づいてきたら好物を与えてみます。
それにも馴れてきたら、膝の上で好物を与えてみましょう。
こうしていくことで「この匂いがするときは良いことがある」とハリネズミは理解します。
ただ、好物の与えすぎによる肥満には気をつけてくださいね。
飼い主さんの匂いに馴れさせるもう一つの方法として、飼い主さんの匂いがするものを寝床に入れるという手段があります。
寝床とは安心できる場所です。
そこにある匂いは、安心できる匂いだと判断してくれます。
飼い主さんが来ていた古着などで寝袋を作るのも効果的ですね。
最後に
いかがでしたか?
ハリネズミは思うように人に懐いてくれないことが多い生き物です。
個体差も大きく、苛立つこともあります。
ですが、焦らず少しずつハリネズミとの信頼関係を築いていって下さいね。